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「形のキレイな波を選ぶか、でかくて凶悪な波に奥からトライするかの選択」 - F+コラム

Text by つのだゆき、Photo by WSL

エフプラスコラム
イタロ・フェレイラ(Photo by Ed Sloane/WSL)

タヒチ、さんざん巨大なの来るとアオリ入れてたわりには、そこまででもなかったし。
優勝はイタロ・フェレイラ。あの淡々としたラウンドアップぶりを見ていると、え~、イタロとかあるの? とか思ってたけど、あったし。
まぁこの今回の結果にバレルを採点する矛盾というか、葛藤というか、限界というか、なんか割り切れなさが出てるんだと思う。
ジョンジョンの9.33をイタロの8点台と比較して、順当と思うか、オーバースコアだと思うかで私の感じている矛盾とか葛藤とか限界とかが理解できる人とできない人に別れるのかな、と思う。
あのコンディションの中からハイポイントを出すために、形のキレイな波を選ぶか、でかくて形も凶悪な感じのやつに奥からトライするか、と、きっちり攻め方が分かれたと思う。イタロは前者、ジョンは後者で1本目からあんなチャレンジーなの行くし。まぁ、あれメイクしてればぶっちぎりでジョンジョンだったけど。

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ジョン・ジョン・フローレンス(Photo by Ed Sloane/WSL)

現状バレルはメイクできてナンボという採点基準なので、どんなクリティカルな波をどんなクリティカルな攻め方したところで、メイクできなければ5点以下だろうし、クリーンな波で技術的にはそれよりだいぶ低いところでのバレルメイクであっても、出てくれば8点ということになる。コミットメントも最後までメイクしてのコミットメントということだ。
まぁ、えぐい波を鳥肌もので攻めたから、メイクできなかったけどハイポイント、ということになると、結果的にはただの突っ込み合戦になるし、けが人続出必至なので、それを求めるわけではないけど、現状の採点方法に関して言えば、あまりスリリングじゃなくてもメイク優先なので、タヒチのような波で、今回のように波数少ない感じになると、すごいことやってたのはジョンだけど、勝ったのはイタロ、みたいなことになる。

イタロはパイプで優勝したときもそうだったんだけど、自分が今しっかりメイクできるクリーンな波を選んで、しっかり2本メイクして着実に勝ち上がることで、パイプ、タヒチのようなバレル合戦を征している。
もちろんイタロが勝ったことに変わりはないし、そこに異論をはさむ余地は無いわけだけど、よく見ていればどのバレルも隠れるギリギリの出口あたりに長くいて、え、今の出てきちゃうんだ、みたいな驚きはない。

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ジョン・ジョン・フローレンス(Photo by Ed Sloane/WSL)

対してジョンはいつだって分厚いリップの奥のほうから入って、あ、さすがジョン様それ抜けるんだ、みたいな感じで、テクニックのレベルで楽しませてくれていた。まぁ、その部分にリワードのない現状のバレルジャッジにはちょっとフラストレーションだけど、だからといって解決策も思い浮かばない。

その辺に現状のジャッジの限界があるのかな、と思う。まぁ、イタロファンは納得いかないだろうけど、あのイタロの8点台2本をハラハラが足りないから7点台として、ジョンのあれを9点という風にすると、釣り合うかなとは思うけど、現状のルールではそうはならないし、バレル抜けたのにハイグッドではイタロサイドのSNS大炎上になるだろう。
まぁ、マニューバーでもそうだけど、結局結果なんですよね。メイクしてナンボ。トライに頑張ったポイントはつかない。それはサーフィンだけじゃなくてどのスポーツでもそうなんだけど、なんか割り切れない感は残る。サーフィンが上手い人、レベルの高いテクニックを持っている人が確実に勝つような採点方法ってないのかな、と思う。
9点と2点が6点2本に負けるみたいなのもね、どうしてもフラストレーションなのよ、私。

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ケリー・スレーター(Photo by Matt Dunbar/WSL)

ケリー・スレーター、52歳。世界最高峰の選手相手に5位。波のあるタヒチとパイプなら、まだまだいけるな、この人。QF負けたのも、事故みたいなもんだったし。でもあのラムジーのディープバレルはすごかったけど。

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